『学校』



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この春、81歳の男子生徒が、定時制高校を卒業する話を、
ニュースで見た人も多いことだろう。




この男性は、終戦直後、家計を助けるために中学2年で働きに出て、
阪神大震災では、営んでいた理容店が全壊するなど、
苦労の多い人生を送ってきたが、亡き父との約束を果たすため、
喜寿になってから、定時制高校に入学した。




卒業後は、通信制大学でさらに学びを続けるとのことだ。




1993年に公開された、山田洋次監督の映画、『学校』は、
幅広い年代の生徒が集まる夜間中学を舞台に
挫折や苦境から立ちあがる人々を、描いた作品だ。




原作は、実際に夜間中学の教師であった、
松崎運之助の、『青春 夜間中学界隈』である。




映画のエピソードもほぼ事実で、この映画によって、
それまであまり存在が知られることのなかった、
夜間中学の知名度が高まった。




かつての日本社会は、地域における、
様々な年代、職業の人との交流があった。




もちろんその功罪も少なからずあったが、貧乏でも明るさを失わず、
人々が生活していたということは、確かである。




殺伐としたニュースの続く現代社会にはない、
”あたたかさ”というものが、地域社会の中で、
機能していた時代があったことは、
忘れられてはいけないのではないだろうか。




日本の美意識とも言い換えることができるかもしれない。




映画の中で描かれている夜間中学には、
その良き時代の名残が、少なからず描かれている。




「生きるとはどういうことか」
「幸せとは何か」




を教えてくれるこの作品は、新たな生活を迎える人が多い、
この時期に、ぜひ観てほしい一本だ。








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